バングラデシュ南部フェニで今月上旬、イスラム宗教学校の校長によるセクハラ被害を訴えた女子学生が体に火を付けられて死亡したことに、国内で反発が広がっている。地元警察は校長の指示があったとみて調べているが、首都ダッカなどでは19日、犯人への厳罰や女性の保護を求めるデモが起きた。
地元報道などによると、亡くなったヌスラト・ラフィさん(19)は3月下旬、校長室に呼ばれ、校長から繰り返し体を触られたなどとして警察に被害届を提出。校長は逮捕された。
ラフィさんは4月6日、知り合いの学生に学校の屋上に呼び出され、顔を含む全身を覆う衣装ブルカを着た4~5人組から被害届の撤回を求められた。ラフィさんが拒否すると手を縛られ、灯油をかけられた後、火を付けられたという。
ラフィさんは病院に運ばれる救急車の中で、家族に被害の状況を説明した。全身にやけどを負っており、4日後に死亡した。
事件後、警察は学生を含む少なくとも18人を殺人などの容疑で逮捕。供述によると、校長が面会者を通じてラフィさんを自殺に見せかけて殺害するよう指示したという。校長は地元の有力者で与党政治家ともつながりがあるという。
バングラデシュでは、性被害にあった女性がさらなる被害や報復を恐れて警察に通報できないことが多いという。今回、警察は被害を訴えるラフィさんに対して「大したことではない」などと語っていたという。(ニューデリー=奈良部健)