タイの選挙管理委員会は23日、先月の総選挙で反軍事政権を掲げ、第3党に躍進する見通しの新党・新未来党のタナトーン党首について、議員候補の資格にかかわる違反があった疑いがあるとして、調査を進めると発表した。タナトーン氏は比例代表名簿1位で当選が確実視されていたが、違反が確認されれば議員にはなれない。
選管は、メディア関連企業の株の所有者の立候補を禁じた法にタナトーン氏が違反した疑いがあると指摘。7日以内に疎明の機会を与えるとした。タナトーン氏側は立候補前に株を譲渡したとし、違反はなかったと反論するとみられる。
タナトーン氏については総選挙後、警察が4年前のデモに関連して扇動容疑などで事情聴取をするなど、軍政側の「圧力」とみられる動きが続いており、今回もその一環との見方が出ている。
新未来党は反軍政や格差是正などを掲げ、若者を中心に支持を集めた。総選挙の公式結果はまだ発表されていないが、タクシン元首相派のタイ貢献党、親軍政の国民国家の力党に次いで第3党になることが確実視され、タイ貢献党などと反軍政の政権樹立を目指すと宣言している。(バンコク=貝瀬秋彦)