ロスジェネはいま
「仮面世代/就職難の果て……悪質リフォーム営業」。2007年1月4日、朝日新聞に掲載された連載「ロストジェネレーション 25~35歳」の見出しだ(東京本社版)。ロスジェネは、社会に出たときに就職氷河期だった世代を指す。現在おおむね30代後半から40代後半の中年期を迎えている。
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私が取材したのは、トラブルが多発して社会問題になっていた訪問販売リフォーム業者の元営業マン。「やり直せるなら小学生からやり直したい」と苦悩する、当時26歳の若者だった。「仮面」をかぶるように本当の心を押し殺し、不本意な仕事をする彼らの心を「仮面世代」という見出しに込めた。
12年後の今年1月、38歳になった彼から「今、大阪に住んでいます」と年賀状が届いた。取材当時は東京で暮らしていた。
大阪で新しい仕事についたのかな、と思った。取材をきっかけに、年賀状などのやりとりを、途切れ途切れながら続けていた。でも最近どんな仕事をして、どんな生き方をしているのか、ほとんど知らなかった。いつか会いたいと思っていた彼を訪ねた。
罪悪感、次第にマヒ
彼は母子家庭で育った。兄には…