北朝鮮の朝鮮中央通信は5日、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が4日に、日本海上での軍事訓練を指導したと伝えた。韓国軍が同日発表していた北朝鮮による日本海への飛翔(ひしょう)体発射を指すとみられる。韓国の軍事専門家は、公開された写真の分析から、国連安全保障理事会が制裁決議で禁じる弾道ミサイルが発射に含まれていたとの見方を示した。
同通信によると、訓練は新型の大口径の長距離放射砲(多連装ロケット砲)と戦術誘導兵器の性能の確認が目的。正恩氏が発射を命じた。公開された写真には発射の様子が映っていた。
北朝鮮の軍事に詳しい韓国・慶南大学の金東葉教授の分析によると、戦術誘導兵器は移動発射台から垂直に打ち上げられ、核弾頭が搭載できるロシア製の短距離弾道ミサイル「イスカンデル」と酷似していた。昨年2月、平壌での北朝鮮軍創建70年を記念する軍事パレードに登場した弾道ミサイルの一つとみられ、射程は韓国全土が収まる約50~500キロと推定される。
弾道ミサイルは高い角度で打ち上げられて主にロケットエンジンで上昇し、その後、高速で落下するために迎撃が困難とされる。安保理決議は、北朝鮮に弾道ミサイル技術を使ったいかなる発射も禁じている。決議違反の発射をあえて公開したとすれば、米国に対して段階的な制裁緩和を改めて迫り、応じなければ、米朝協議前のように核ミサイル実験を再開すると強く示した可能性がある。
国内的には米朝協議が当面好転…