大規模災害で被災した地方議会が機能不全に陥らないための対応マニュアルが、少なくとも700超の自治体で未策定であることがわかった。早稲田大学マニフェスト研究所(東京)が調査した。東日本大震災で機運が高まった議会の災害対策だが、道半ばの様子が浮き彫りになった。
同研究所は2月、全地方議会(1788自治体)に回答を依頼。4月までに47都道府県と1398市区町村(回収率81%)から回答を得た。「定めていない」と答えた議会は回答全体の52%にあたる745。「定めている」は48%の697議会だった。
都道府県別で策定済みと回答した議会が5割以上だったのは23都府県=地図。2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手と宮城(6~7割台)、直下型地震が懸念される東京や埼玉、神奈川(7割超)、南海トラフ地震の津波被害想定地域の静岡や愛知、三重(6~7割台)が比較的高かった。一方で日本海側は能登半島地震があった石川、中越地震を経験した新潟を除くと多くが3~4割台だった。北海道は2割台にとどまった。
国や自治体に地域防災計画の策定を義務づけている災害対策基本法には、議会についての規定がない。だが東日本大震災では被災議会が機能停止し、首長が災害復旧の補正予算を議会に諮らず決める「専決処分」も多発。効果的な情報収集も後手に回り、行政のチェック機能を十分に果たせなかったケースが相次いだ。
こうした事態を踏まえて震災後、災害時の対応マニュアルづくりに着手する議会が相次いでいる。議員の安否確認の方法整備や、議長がトップの災害対策の会議体づくりなどが明記される例が主流だ。
地方議会の危機管理に詳しい同志社大学の新川達郎教授(地方自治論)は「マニュアルは議会として役割を果たすための最低限の備えだ。災害を経験したり、想定されていたりする地域以外では低調。議会の当事者意識が問われている」と指摘している。
大規模災害時、議会はどう動け…