暴力行為で土俵を去った叔父からは「人の何倍も努力しなさい」と背中を押されたという。昨年12月、巡業先で付け人に暴力を振るい、責任を取って現役を引退した元幕内貴ノ岩(29)のおい、ガルダン・スフバト(20)=モンゴル出身、尾上部屋=が7日、大相撲の新弟子検査を受検。身長178センチ、体重126キロで体格基準をクリアした。
13人の受検者の中で、ひときわ目を引いたのは叔父ゆずりの筋肉質な体だ。背筋力は210キロ、握力は右80キロ、左86キロを計測した。大相撲では外国出身力士は1部屋1人という制限があり、高校卒業から受け入れ先の決定までに時間がかかったという。それだけに、「やっと入ったという感じです」と笑顔を見せた。
モンゴルでは柔道で体を鍛え、叔父の背中を追って16歳で来日。強豪の埼玉栄高に入学し、当初は立ち合いのぶちかましができずに苦労も味わった。しかし、同級生で元横綱大鵬の孫の幕下納谷らと一緒に相撲を磨き、人気ユニット「スキマスイッチ」の歌詞で日本語を覚えた。「最近、相撲を取っていて楽しいと思えるようになってきた」と、初土俵を前に手応えを感じている。
目指す力士は、立ち合いの強さに憧れるという元大関北天佑。新弟子検査の合否は夏場所初日の12日に発表されるが、外国出身のため興行ビザの取得が必要で、初土俵は7月の名古屋場所以降になる。「早く関取になりたい」とはやる気持ちを抑えられない様子だった。(波戸健一)