シンガポール国会は8日、インターネット上で広がるフェイク(偽)ニュースを防止するための法案を与党などの賛成多数で可決した。閣僚が虚偽と判断した情報の削除や訂正を求めることができる法律で、個人に最大で禁錮10年など厳しい罰を科す内容だ。野党は「真偽を決めるのは閣僚であってはならない」と抗議した。
同法は「偽の情報」を「全部または一部が虚偽、もしくは誤解を招く情報」と定義。悪意を持って偽の情報を拡散した企業や団体には、最高で罰金100万シンガポールドル(約8210万円)を科す。個人には最高10万シンガポールドル(約821万円)と禁錮10年の両方、もしくは一方を科す。
発信者が国外にいても刑罰の対象となるため、従来の言論統制からは比較的自由だった海外メディアの統制も強まる可能性が指摘されている。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは8日、「シンガポールはこれまでも政府批判を統制してきたことで悪名高い。新法には『真偽』や『誤解を与える』ことの定義さえなく、異論を統制する無限の力を政府に与える」との抗議声明を発表した。(クアラルンプール=守真弓)