関西にある3空港が今後目指す方向性について、地元財界や関係自治体が11日、合意した。神戸空港の夜間の発着時間が1時間延び1日の発着数も3割増える。だが、大阪(伊丹)の規制緩和は見送りになり、国際線中心の成長戦略も描ききれていない。
大阪府や兵庫県など空港周辺自治体の首長や、商工会議所などの経済団体トップらが参加する「関西3空港懇談会」が11日に開かれた。約8年ぶりの開催だった昨年12月以来で、当面の課題については整理を終えたことになる。
神戸空港は、発着可能時間を1時間延ばして午後11時までとし、最大発着回数も60から80に増やす。神戸市の久元喜造市長は「(2006年の開港以来)長く動かなかった発着枠と運用時間で合意ができたのは非常に大きい」と話した。懇談会の座長を務めた関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)は、「関西経済活性化につなげる突破口が開けた」。
一方で、伊丹空港の規制緩和は当面見送りとなった。また、関西空港を補完するための国際線の就航については、神戸で25年までの中期的な検討課題に位置づけられただけだった。関西空港を抱える大阪府の吉村洋文知事は、「もう少し先の話になる。大阪・関西万博への対応は改めて話し合う」。兵庫県の井戸敏三知事は「満足とは言えないが、規制緩和の方向が明確になったことは評価したい」と期待を込めた。
神戸や伊丹の規制は、不振が続いた関空への「支援策」でもあった。ただ、訪日客の増加で関空の業績は上向いた。さらに、昨年4月には、関空と伊丹を運営する関西エアポートが、神戸も傘下に収めた。
昨年秋の関空の水没被害で、国際線の代替機能を考えるきっかけもできた。3空港一体で、拠点空港としての地位を高めたい――。経済界の期待はふくらんだが、自治体間の利害調整に手間取った。騒音問題も抱える伊丹については、規制緩和のきっかけになると踏んだ、遅延便の受け入れという「事実上の発着時間延長」すら合意から外れた。
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