河野太郎外相は11日、札幌市内で講演し、ロシアとの平和条約締結について「そう簡単に『はい、わかりました』となるはずがない」と述べ、交渉の難しさを吐露した。一方で、領土交渉への機運を高めると日本側が期待する北方四島での共同経済活動について、早期の具体化に期待感をにじませた。
河野氏は10日にモスクワでロシアのラブロフ外相と平和条約締結について交渉し、平行線に終わった。講演で「平和条約交渉は単に合意をするだけではダメで、それぞれの国の国会が承認しなければ批准できない」と説明。「両方が納得するような様々な組み合わせを考えないといけない」と強調した。ラブロフ氏との交渉は「かなりヒートアップした」とも述べた。
共同経済活動について、「ロシアは日本の技術や投資で極東を発展させたいと思っている」と指摘。「日本も(北方四島の)エネルギーなどいろんなチャンスがある。日ロの思いは同じ方を向いている」とし、共同経済活動の具体化を通じ、領土交渉に弾みをつけたい考えをにじませた。
北朝鮮が短距離弾道ミサイルの発射を強行した点にも触れ、「国際社会が制裁を履行し、北朝鮮に正しい決断を迫る」必要があると訴えた。一方で、「北朝鮮には地下資源や豊富な労働力があり、発展の可能性は十分ある。日本も核、ミサイル、拉致問題を包括的に解決できれば国交正常化して経済協力できる」とも語った。(鬼原民幸)