2019年版の外交青書で18年版にあった「北方四島は日本に帰属する」との表現が削除されたことについて10日、自民党の会合で批判が相次いだ。政府が削除したのはロシアを刺激しないようにする配慮からだったが、「身内」の自民議員からは「交渉が何も進展していないのにメッセージだけ弱めている」といった不満が続出した。
外交青書は、国際情勢や日本外交について政府の認識や方針を示した公式文書。北方領土問題や日ロ平和条約交渉についても安倍晋三首相や河野太郎外相の国会答弁などに沿って書かれている。
10日の自民党外交部会と外交調査会の合同会議では「固有の領土という表現は基本原則のはずで残すべきだ」「ロシアから文句を言われ、自発的に日本の基本原則を捨てた」と批判が相次いだ。
外務省幹部が「日本政府の北方領土に関する法的な立場は変わっていない。ロシア側との交渉でしっかり主張している」と理解を求めたが、「全然説明になっていない」などと議員の反発は収まらなかった。(鬼原民幸)