いちからわかる! 原爆資料館
批判あった被爆人形撤去 前館長「事実伝えるのが使命」
Q 広島の平和記念資料館(原爆資料館)がリニューアルしたね。
A 資料館は本館と東館にわかれていて、2014年9月から順番に閉館して改修工事を進めていた。4月25日の本館再開で、全面リニューアルとなった。
Q なぜ改修したの?
A 被爆者の平均年齢が82歳を超え、1945年8月6日に起きたことを若い人たちに語りつぐ必要がある。原爆の被害を、これまで以上にわかりやすく伝える必要があると考えた。
Q どう変わったの?
A 被爆者が身につけていた服や、爆風で曲がった鉄骨など、実物の展示を重視した。かつての本館には、やけどをして皮膚(ひふ)をぶら下げて歩く被爆再現人形があった。でも、被爆者からは「被害はこんなものじゃなかった」という批判もあり、展示をやめた。
Q 一目で恐ろしさがわかる気もするけど。
A 人形と違って、実際は服が焼けて裸で、顔も性別がわからないほど焼けただれた人もいた。被爆者がいなくなった将来、誤ったイメージが独り歩きしないようにするためなんだ。
Q ほかには、どんな工夫をしたの?
A 展示品の説明は、あまりくわしくしないようにしている。遺品と向き合って、被爆者や遺族の苦しみを自分に置きかえて想像してもらいたいんだ。原爆開発の歴史や核兵器の現状は、東館で学べる。あと、展示品がいたまないように暗くしているよ。紙の資料が光によって文字が薄れて見えなくなったり、服が変色したりしないようにしているんだ。
Q なるほど。
A 来年で被爆から75年の節目を迎え、資料館の役割はますます大きくなる。核兵器は、人間から何をどう奪うものなのか。その伝え方を、これからも専門家と議論しながら考えていくそうだよ。(東郷隆)