慰安婦問題の論争を扱ったドキュメンタリー映画「主戦場」の出演者3人が30日、東京都内で記者会見した。「監督が私たちを欺いて映画に出演させた。違法行為にあたる」と主張し、上映中止を求める声明を発表した。監督は「私がだましたという主張は間違いだ」と反論している。
映画は、日系米国人のミキ・デザキ監督が慰安婦問題を題材に、日米韓の30人以上にインタビュー。強制連行の有無や慰安婦の人数などの論点で主張と反論を紹介している。4月に東京・渋谷で公開されると反響を呼び、全国40カ所以上での公開が決まっている。
記者会見したのは「新しい歴史教科書をつくる会」の藤岡信勝副会長ら3人。ジャーナリストの櫻井よしこ氏や杉田水脈・衆院議員、米国弁護士のケント・ギルバート氏らとともに、映画で「歴史修正主義者」などと紹介されている。
大学院生だったデザキ氏が「学術研究」目的でインタビューを申し込んだことは、双方が認めている。
藤岡氏らは「商業映画として一般公開するならインタビューは受けなかった。承諾なしに映画に出演させられた」と肖像権侵害を主張。「映画で私たちに『歴史修正主義者』『性差別主義者』などとレッテルを貼った」として名誉毀損(きそん)も訴え、上映中止やポスターから名前や顔写真を削除するよう求めた。
デザキ氏は30日午後に反論の動画をネット上に発表。「映画の出来がよければ一般公開も考えていると伝えており、彼らも知っていた」と主張している。(編集委員・北野隆一)