防衛省は3月、沖縄など南西諸島に展開する自衛隊の通信システムへのサイバー攻撃を防ぐため、陸上自衛隊西部方面隊(熊本市)に「方面システム防護隊」を新設した。地方に置くサイバー防衛部隊は初めて。海洋進出を強める中国がサイバー戦力を増強していることを念頭に、態勢を強化した。
方面システム防護隊は約50人で構成され、24時間態勢でサイバー攻撃に備える。
また、南西諸島の有事の際には、現場に赴いた自衛隊の部隊が現地にアンテナを張り、中央のネットワークに接続。野外で部隊の活動を計画し、指揮する。こうした通信網を守るため、方面システム防護隊も同行。外部からの不正アクセスやウイルスから守る。
沖縄など南西諸島に展開する自衛隊の通信システムへのサイバー攻撃が過去にあったのかどうか、防衛省の担当者は「明らかにできない」という。ただ、防衛省関係者は「(中国が攻撃してくる有事の際には)南西諸島に展開する部隊にサイバー攻撃を仕掛ける可能性が高い」という。こうしたセキュリティー業務は従来、既存の通信部隊が担っていたが、特定地域をカバーするサイバー防衛隊を初めて置いた。
防衛省によると、サイバー空間で2016年度、政府機関への脅威と認知されたのは711万件。防衛省では現在、サイバー防衛隊150人が24時間態勢で、自衛隊全体の情報通信網を監視している。自衛隊のサイバー関連部隊は計430人で、今後5年間で1千数百人まで増やす計画だ。防衛相直轄の新たなサイバー防衛部隊も23年度までに設ける。(山下龍一)