刑事事件の容疑者を香港から中国本土に引き渡すことを可能にする「逃亡犯条例」改正案をめぐり、香港政府トップの林鄭月娥・行政長官は15日、記者会見を開いて「説明不足があったことを認める」と述べ、立法会(議会)での審議をいったん中断すると表明した。条例案の改正は先送りとなる。民主派を中心に激しい抗議が起きていることを受け、早期成立を目指す姿勢を転換した。
林鄭氏は「責任ある政府として法治を改善させる必要がある。改正の初心は香港の将来を考えたものだ」と述べ、改正案の撤回は否定。今後、各方面の意見を聞き、改めて立法会に諮るとしている。ただ、改正までの期限は設けないとした。
だが、民主派は、条例が改正されれば、中国政府の政治的な意図で香港市民が身柄を本土に引き渡されかねず、「一国二制度」が脅かされるなどと反対しており、改正案の撤回を強く求めている。16日にも中心部で大規模なデモを呼びかけており、「先送り」表明で抗議が収まるかは見通せない状況だ。
改正案の審議が予定されていた…