(悩みのるつぼ) 相談者
幼少時に植えつけられた劣等感に悩まされ続けています。
婿養子だった父の発言力が弱く、主に祖母と母に育てられました。祖母は終戦直後に夫を亡くし、男性に負けじと働いて女手一つで母を育ててきたので、自らの負けん気を私に注入し、強い男に育てようとしました。
その方法は、私が他人と比べてあらゆる面で劣っていると非難して奮起を促すというもの。比較の対象は知り合いや親戚だけでなく、見ず知らずの通りすがりの子どもだったこともありました。当時の私はそれに気づかず、期待に応えるべく頑張りました。しかし、その結果を一度としてほめられず、残ったのは劣等感だけだったのです。
そんな私の人生は暗く惨めなもので、小学校の時にはいじめの標的にされ、友人も少なく、結婚して2人の子がいるものの、職場では万年平社員です。
祖母は私が実家を出た後に他界しましたが、父を3年前に亡くして一人暮らしをしている母は、今でも私が実家に顔を出す度にそしり続けます。私は、「こんな自分に誰がした」という考えが頭をもたげ、根底にある劣等感を植えつけた祖母への、ぶつけようのない怒りがこみ上げています。
既に亡き人となった祖母への憎しみや過去を振り切り、これから先の終盤の人生を心新たに過ごすため、どうすればよいかお教え頂けませんでしょうか。
回答者 歌手・俳優 美輪明宏さん
あなたは「祖母が」「母が」と、個人の性質に責任を押しつけているようですが、おばあさまやお母さまは、いわば時代を代表する「お化け」なのです。ですから、個人を恨むのは間違っています。あなたが育ったのは、そういう時代だったのです。
「他人は他人、自分は自分」と…