老後に2千万円必要とする審議会報告書の議論の過程で、金融庁は「(必要額は)1500万~3千万円」との別試算も示していた。麻生太郎金融相は18日の参院財政金融委員会でこの点を問われ、「誤解と不安を招くものであれば、(2千万円と)同様に不適切だ」と釈明した。
麻生氏は、大学教授らがメンバーの審議会が作った報告書に対し、「政府のスタンスと違うから受け取らない」と説明していた。ただ、審議の過程では金融庁が自ら必要額をはじくなど、報告書の方向性は政府が導いたことになる。
金融庁は審議過程の4月12日、65歳で退職後30年、月25万円の生活費を使う場合の試算を委員に示した。
支出額を計9500万~1億1千万円と仮定。「一律に必要な資産形成額を示すものではない」と断りながらも、公的年金や退職金・私的年金以外に個人で必要な資産形成額として「1500万~3千万円」と説明した。三井秀範・企画市場局長は18日の委員会で「かなり大胆な仮定を置いた試算で、報告書で取り上げなかった」と釈明した。
金融庁は6月3日にまとめた報告書で、老後20~30年間に必要な額の目安として「1300万~2千万円」と記していた。審議会では民間の委員からも老後に必要な額の試算が示され、資産形成のあり方などが話し合われてきた。(山口博敬)