中国の習近平(シーチンピン)国家主席は20日、北朝鮮の平壌を国賓として訪れ、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と会談した。中国の最高指導者の訪朝は14年ぶり。中国は米国との通商交渉が、北朝鮮は非核化協議がそれぞれ難航し、経済苦境にある。両氏は北朝鮮の非核化に連携して取り組む考えを示すなど、米国を牽制(けんせい)。北朝鮮の経済建設への協力も確認した。
両氏は昨年以降、中国で4回会談したが、国家主席として習氏が訪朝するのは初めて。中朝は10月に国交70年を控えており、習氏の訪朝は正恩氏が指導する体制を認め、中国が後ろ盾であり続けることを示す重要な意味を持つ。
中国国営新華社通信によると、両氏は平壌の錦繡山(クムスサン)迎賓館で会談。習氏は北朝鮮の非核化への取り組みを評価し、「国際社会は朝米が対話で成果を得ることを望んでいる。中国は北朝鮮の平和と安定にできる限りの支援を提供したい」と関与を強調した。正恩氏は「多くの措置を講じたが、当事国の良い反応を得ていない。辛抱強く待つが、当事国は歩み寄ってほしい」と米国を念頭に訴えた。
正恩氏は自国の経済建設に関連して、「中国の経験にさらに学び、経済を発展させて人々の生活を改善したい」と発言。習氏は「経済分野などで幹部往来を強化したい」と述べた。
習氏は今月末、大阪での主要20カ国・地域(G20)首脳会議にあわせ、トランプ米大統領と会談する。中朝ともに互いの関係を対米交渉を動かすてこにしたい考えがある。
中国はトランプ氏が重視する非核化交渉について、正恩氏から前向きな姿勢を引き出すことで北朝鮮への影響力を誇示し、米中の対立局面を打開する狙い。正恩氏も中国との蜜月関係をアピールし、米国の譲歩を得たい考えとみられる。(北京=冨名腰隆、ソウル=神谷毅)