韓国の大法院(最高裁)が元徴用工らへの損害賠償を日本企業に命じた判決をめぐり、韓国外交省は19日、被告企業が韓国企業と資金を出し、判決が確定した原告に払えば、日本政府が求める外交協議に応じるという立場を発表した。こうした考えを最近、日本政府に伝えたという。
元徴用工訴訟に絡み、韓国が日本に具体的な提案をしたと明らかにしたのは初めて。発表によると、韓国外交省は、敗訴が確定した日本製鉄と三菱重工業が韓国企業と自主的に財源をつくり、判決が命じた原告への賠償相当額を渡して和解することを求めた。韓国企業は1965年の請求権協定による経済協力金で恩恵を受けた韓国鉄鋼大手ポスコなどを想定しているとみられる。
大法院は昨年10月と11月に日本製鉄(旧新日鉄住金)と三菱重工業に、元徴用工ら原告32人に1人あたり約1億ウォン(約900万円)前後の賠償を命じた。日本政府は請求権協定でこの問題は解決済みとの立場で、今年5月、同協定に基づく仲裁委員会の設置を韓国側に求めた。ただ、韓国側は応じていない。(ソウル=武田肇)
外務省「解決策にならない」
外務省の大菅岳史・外務報道官は19日の記者会見で、韓国外交省が明らかにした、日韓両国の企業による拠出金で元徴用工らに賠償金を支払う案について、「韓国の国際法違反の状態を是正することにはならず、解決策にはならない」と述べ、拒否したことを明らかにした。すでに韓国側にも伝えたという。