民間小型機が上空で連絡が取れなくなった原因は「居眠り飛行」だった――。オーストラリア運輸安全局が、昨年11月に豪南東部の上空で起きた事例の報告書を出した。眠りから覚めたパイロットは無事、目的地の空港に着陸したが、「重大な事案」と注意を促している。
25日に出された報告書によると、昨年11月8日早朝、タスマニア州のキング島空港に向かっていた豪州の民間航空会社ボルテックスエアの小型機のパイロットが1800メートル上空から降下を始める時点で眠ってしまい、空港の管制官の着陸指示に8分間、応答しなかった。やっと連絡がとれたときには自動操縦の状態で78キロほど遠くまで飛んでおり、引き返して着陸した。
パイロット1人が乗り、貨物を運んでいた。パイロットは前夜にメルボルンの空港を出て、未明にタスマニア州のデボンポート空港に着陸。3時間ほど仮眠を取る時間があったが眠れないまま、キング島へ向かっていたという。
同局は、パイロットに対して「深夜からの飛行の際には、事前に睡眠の周期を調整しておくべきだ」とした。また、今回の居眠りの原因ではないとしつつ、チャーター飛行などを提供するこの航空会社で、飛行時間や勤務シフトが頻繁に変わる状況を指摘。居眠りを避けるために「パイロットに最適な機会を提供していなかった」とした。(シドニー=小暮哲夫)
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