日本銀行が1日発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、代表的な指標の大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス7と、前回3月調査から5ポイント悪化した。2016年9月調査のプラス6以来の低水準で、2四半期連続の悪化。米中貿易摩擦の激化や中国経済減速による輸出の低迷が影を落とした。
短観は全国約1万社を対象に景気動向を聞く調査。DIは景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」を引いた指数になる。
大企業・製造業の悪化幅を業種別にみると、金属製品19ポイント、生産用機械14ポイント、自動車10ポイント。中国や欧州向けの輸出減少が響いた。大企業・非製造業は2四半期ぶりに改善し、前回より2ポイント高いプラス23。業種別では、宿泊・飲食サービスが4月末からの10連休で好調だった。中小企業・製造業は7ポイント低いマイナス1と、16年9月以来のマイナス水準。同・非製造業は4四半期ぶりに悪化し、2ポイント低いプラス10だった。
3カ月後のDIの先行き見通しは、大企業・製造業が横ばいのプラス7、同・非製造業が6ポイント悪化のプラス17。海外経済の先行き不安に加え、飲食や宿泊業界は10連休特需の反動、建設業界は五輪や復興需要の一服を懸念する声があるという。
西村康稔官房副長官は1日の会見で、今回の短観の結果は、国内経済が緩やかな回復を続けていることを反映しているとして、10月の消費税率の引き上げ方針については「変わりはございません」と述べた。(笠井哲也)