厚生労働省は、中小企業が従業員の老後資産づくりを支援できる私的年金制度「iDeCo+(イデコプラス)」を使える対象を、今の「従業員100人以下」から「300人以下」に広げる方針を固めた。公的年金の水準低下が見込まれるなか、小さな会社も働き手の資産形成をサポートしやすくして、より自助努力で老後に備えてもらう狙いがある。
年金には、国民年金・厚生年金といった公的年金のほか、補うものとして企業ごとの年金制度や、個人で入る「iDeCo(イデコ=個人型確定拠出年金)」などの私的年金がある。イデコは、加入者が自分で掛け金の額や運用方法を決める。掛け金や運用益は非課税になり、節税効果がある一方、運用次第で受取額は増減する。60歳以降での受け取り方法は、分割して年金にするか、一度にもらう一時金かを選べる。5月時点の加入者は125万人。
昨年5月に始まったイデコプラスは、イデコに入っている従業員の掛け金の一部を、事業主が負担できる制度。自前の企業年金がない中小企業が利用できる。掛け金は、従業員と事業主の合計で月5千~2万3千円。仮に事業主が1千円を出せば、従業員は月4千円から始められる。事業主にとっては、拠出分は損金扱いになり、従業員の福利厚生の強化もできる。一方、5月時点の導入企業は504にとどまる。
厚労省は、イデコプラスの対象企業を広げることで、イデコの普及拡大を目指す。社会保障審議会(厚労相の諮問機関)での議論を経て、来年の通常国会への関連法改正案の提出を目指す。
金融庁審議会は先月、公的年金…