経済産業省が4月に、老後に必要な蓄えを「2895万円」とする独自の試算を審議会に示していたことがわかった。老後の資金をめぐっては、金融庁の審議会がまとめた「約2千万円が必要」とする報告書の受け取りを麻生太郎金融相が拒否した。「政策スタンスと異なる」とする政府の説明とは裏腹に、年金だけでは不十分な人が多いという課題が、関係省庁で広く認識されていたことになる。
「2千万円不足」の衝撃、老後不安を解消する生き方とは
試算は、4月15日に開かれた産業構造審議会の「2050経済社会構造部会」で、事務局の経産省が示した。2018年に65歳を迎えた夫婦が95歳まで30年間暮らす想定で試算すると、生活費が1億763万円かかるが、公的年金収入は7868万円にとどまり、2895万円の不足が生じる、という内容だ。
将来の日本社会の姿を見据え、老後に必要な資産形成を促す議論の参考として示したものだが、部会が5月にまとめた提言には盛り込まれなかった。
老後に必要な蓄えについては、…