農林水産省は、愛知、岐阜両県で相次ぐ家畜伝染病「豚(とん)コレラ」の拡大防止のため、両県に隣接する7県でも、えさ型ワクチンを散布できるようにすることを決めた。地元の同意を得たところから順次実施する。
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対象は三重、富山、石川、福井、長野、静岡、滋賀の7県。同省は、豚コレラウイルスが野生イノシシを介して広がっているとみて、愛知、岐阜両県で野生イノシシの捕獲調査とえさ型ワクチンの散布をしてきた。だが6月25日に三重県いなべ市で捕獲された野生イノシシから豚コレラの陽性反応が出て、隣県に被害が広がる可能性が高まりつつある。
えさ型ワクチンは、トウモロコシ粉の中に弱毒性の生ワクチンを仕込んだ縦横4センチの固形物で、山中に埋めてイノシシに食べさせる。農水省が今年3月から、国内で初めて愛知、岐阜両県で散布している。(井上昇)
岐阜・恵那で豚コレラ 岐阜で19カ所目
岐阜県は3日、同県恵那市の養豚場の豚から家畜伝染病「豚(とん)コレラ」の陽性反応が出たと発表した。県内の施設で感染が確認されたのは19カ所目。飼育している豚約4800頭は殺処分される。県は、陸上自衛隊に災害派遣を要請した。
県によると、2日に養豚場から通報があり、検査を実施した。この養豚場は豚コレラに感染した野生イノシシが確認された地点から10キロ以内にあり、監視対象になっていた。
豚コレラは人には感染せず、感染豚の肉が市場に出回ることはない。内閣府の食品安全委員会は仮に感染した豚の肉を食べても健康への影響はないと説明している。