2015年の日韓慰安婦合意に基づく「和解・癒やし財団」が解散登記を終えたことに対し、日本政府は5日、外交ルートで韓国政府に抗議した。拠出金の一部が残っていることなどから、日本側は解散が完了したとは認めず、引き続き合意の実施を求めた。
外務省の金杉憲治アジア大洋州局長が5日午前、在日韓国大使館の金敬翰(キムギョンハン)次席公使と省内で会い、「解散が完了したとは認めない」と伝えた。西村康稔官房副長官は同日の記者会見で、「引き続き合意の着実な実施を強く求める」と述べた。
財団は、日本が拠出した10億円を財源に、元慰安婦に1人あたり1億ウォン(約900万円)、遺族に同2千万ウォンの支援金を支払う事業を実施した。ただ、受給希望者のうち元慰安婦2人と遺族13人には支払われておらず、日本政府の拠出金は5億円余り残る。外務省幹部は「支給は終わっておらず、残余金の使い道すら決まっていない」と指摘。外務省は今後も韓国側と協議を続ける方針だ。
文在寅(ムンジェイン)政権は昨年11月、財団の解散手続きを進めると発表。財団は6月に解散登記を申請し、完了通知を受け取った。(鬼原民幸)