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脳出血でリハビリの父、何度も心に 捧げた136球

鹿児島大会は9日、雨天で順延になった2回戦の6試合があった。隼人工や徳之島など4チームがコールド勝ち。徳之島は本塁打を含む猛攻で、樟南二との同島対決を制した。鹿児島玉龍は10安打を絡めた着実な攻撃で出水工を突き放し、鹿屋は鹿児島中央との乱打戦に勝利した。


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病の父に捧げた136球 出水中央・登尾秀之介君


二回裏、隼人工に先制点を奪われた。だが出水中央のエース登尾秀之介君(3年)は平常心を失わなかった。時々触れる右ポケットには、「一投入魂」と書かれた小さな木製のお守りが入っていた。


お守りは1年の夏が終わったとき、父・秀樹さんから贈られたものだ。だがその少し後の練習後、母・ゆかりさんから当時の監督に一本の電話が入った。


「お父さんが倒れた」


脳出血だった。一命は取り留めたものの、1カ月以上意識が戻らず、その後も苦しいリハビリ生活が続いている。


野球を続けるべきか――。悩んだが、母の言葉が背中を押した。「お父さんも野球をしてほしいって思ってるはずだから」


元高校球児の父の影響で5歳から野球を始めた。夏の鹿児島大会で活躍し、卒業後も草野球を続ける父の姿を見て、野球の楽しさを知った。父が倒れたことは信じられなかったが、試合で活躍して少しでも元気づけようと毎日夜遅くまで練習に励んできた。


試合中、ネット中継を見て応援する父の姿が何度も頭に浮かんだ。試合はコールド負けしたが、最後まで気持ちを切らさず、136球を投げきった。


「くやしいけど、野球を好きにさせてくれた両親にプレーで感謝を伝えられたかな」。何度も自分を励ましてくれたお守りを見つめ、涙があふれた。(小瀬康太郎)


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