九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の運転差し止めを住民らが求めた仮処分申し立ての即時抗告審で、福岡高裁(山之内紀行裁判長)は10日、住民側の抗告を棄却した。
【特集】玄海原発
主な争点は、耐震設計の基になる基準地震動(想定される最大の揺れ)の合理性、原発周辺の火山の噴火リスク、配管の安全性の3点。
住民側は「基準地震動が過小評価されている」と主張。原子力規制委員会の安全審査の内規(火山影響評価ガイド)は、破局的噴火が予測できることを前提としている点は不合理と指摘。阿蘇カルデラ火山の噴火による火砕流が原発の敷地に到達する可能性も、十分小さいとは言えないと訴えていた。配管については「九電の検査方法では損傷が見逃されることがありうる」としていた。
九電側は、基準地震動の評価について「各種調査で地域的な特性を把握した上、過小にならないようにしており合理的だ」と反論。「原発の運用期間中に破局的噴火が起きる可能性は極めて低い」と主張していた。配管については「健全性の確保に向け万全を期している」としていた。
佐賀地裁は2017年6月、「安全性に欠けるところがあるとは認められない」などとして、仮処分の申し立てを却下。住民側が即時抗告していた。(一條優太)