(13日、高校野球京都大会 立命館11-3同志社国際)
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三回裏、同志社国際が1点を返すと、ベンチでスコアをつけていたマネジャーの表情が緩んだ。ニュージーランド生まれのジョンソン珠貴(たまき)さん(17)だ。
母は日本人、父はニュージーランド人。中学1年のとき、兄の進学のため母と3人で日本へ越してきた。高校1年の秋までは陸上部員。100メートル走は中学時点で13・03秒だった。ニュージーランドでは野球はあまり普及しておらず、ルールは知らなかった。
2年前、別の高校の野球部員と親しくなり、野球のことを教わった。京都大会を観戦に行き、ひたむきなプレーにはまった。
どうしても高校野球にかかわりたい。「マネジャーになりたい」。昨年1月、塩見賢司監督に訴えた。3月に入部を認められた。先輩が引退する前に、ノックの球の補充やスコアのつけ方をこつこつ学んだ。
「野球が私を変えた」と珠貴さん。控えめで人見知りしがちだったが、言われなくても積極的に動くようになった。ノックの球が足りなくなっていたら球を持って行く。アイシング(冷却)が必要そうな選手がいたら用意しておく。三重県伊賀市の自宅から高校までは片道1時間45分。好きだから続けてこられた。
今年はチームに上下関係はない。先輩であっても名前やあだ名で呼ぶ。「さんづけ」はしない。桜井洋輔主将は「サック」のあだ名で呼ばれている。この日も打席に立つと、2年生が「サック、打ち返すぞー!」と声をかけた。
「最後まであきらめなかったみんなはかっこいい。団結力のあるチームで一緒に戦えてよかった」。試合後、目を真っ赤にしながら話した。(紙谷あかり、高井里佳子)