|
高校野球の京都大会の出場校のうち、連合チームは一つだ。選手7人の朱雀(中京区)、8人の農芸(南丹市)、5人の京都教育大付属(伏見区)が同じチームになる。ユニホームはばらばらだが、気持ちはまとまってきた。 ニュースや動画をリアルタイムで!「バーチャル高校野球」 「大会出たいんやったら、部員が集まるようなことせえよ」。農芸のミーティングで昨年6月、赴任したばかりの浜辺航(わたる)監督(29)が語りかけた。部員数はわずか2人。3年生も1年生もいない。2年生だった主将の川崎博満(ひろま)君(17)と、成田一也君(17)だけが残っていた。 「野球やらへん?」。川崎君は入学してすぐ、4人部屋の寮で同室だった成田君を誘った。農芸の男子は最初の1年間、寮生活を送る。2人は1年の夏まで同じ部屋だった。 部員集めは川崎君が担当した。学年は問わない。寮と学校で、片っ端から声をかけた。「今やったら即戦力で試合に出られる。野球に興味ないか?」。だが、返事はつれなかった。「週末の練習に出られないから」「丸刈りは嫌」。だれも集まらなかった。 昨春の府大会まで連合を組んでいた向陽(向日市)、西乙訓(長岡京市)は選手がそろい、昨夏はそれぞれ単独で出ることになった。出場辞退を決めた。 昨夏の京都大会で、川崎君と成田君は開会式の来賓受付を務めた。大会に参加できない農芸を、京都府高校野球連盟が気にかけての対応だった。 開会式は見られないが、「ワー」という歓声と拍手の音が聞こえてきた。川崎君は「来年は出たいと心から思った」と振り返る。 主将になったのは1年の3月。1年生は自らを含め4人いたが、うち2人は夏の大会が終わると練習に来なくなった。先輩はだれもいない。高校から野球を始めた成田君に、いきなりのまとめ役は背負わせられない。自分が主将を引き受けるしかなかった。 夏休み中の練習は1人きり。グラウンドでしゃべる相手もいない。部室で1人おにぎりをほおばる。ひたすら寂しい。携帯アプリでブラスバンドの演奏を聴いて応援席のざわつきを思い浮かべ、気分を紛らわせていた。 キャッチボールの相手は当時の監督だった。「なんで1人なんやろ。チームスポーツなのに。1人だとつまらん」と思い詰め、野球部がにぎわっている高校への転校も考えた。でも、練習につき合ってくれる監督を裏切れないし、途中で投げ出したくはなかった。 当時の監督は園部(南丹市)の岩井将(まさる)教諭(30)。川崎君が悲しそうな顔をしているのを見ていた。「寂しかったと思うが、一度も弱音をはくことはなかった」と振り返る。 3年生になった。最後の夏を前に、今年こそ仲間がほしい。「一緒に101回大会の入場行進で歩こう!」。新入生への部活紹介のとき、他の部はマイクでアピールしたが、川崎君は地声で思いを伝えた。2年生1人が1月、1年生5人が4月に加わり、部員は8人になった。 朱雀と京教大付と連合を組んだのは昨秋から。南陽(木津川市)も一緒だったが、今大会は単独で出場することになった。 3校の距離は離れている。とくに農芸と京教大付は直線でも約30キロある。合同練習ができるのは週末のみ。4月以降、集まれたのは練習試合を含め10回だけだが、息は合ってきた。 京都明徳との初戦は13日、宇治市の太陽が丘球場である。川崎君や成田君は、今年新調した農芸のユニホームに袖を通す。大会ごとに主将、監督、部長、流れる校歌、掲げる旗は各校で回している。今大会は主将や監督、校歌はいずれも朱雀の番。部長は農芸から、風に揺れる旗も農芸のものだ。(高井里佳子) |
「丸刈りは嫌」誰も集まらず 今年こそ…決意の部活紹介
新闻录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语
相关文章
必勝もたらすギョーザ 母の「勝負飯」人気はシソとエビ
野球が私を変えた ニュージーランド生まれのマネジャー
龍谷大平安の2年生が満塁弾 心臓手術から復帰の5番
きょうは二遊間コンビの誕生日 2人そろって記念の安打
「今年は勝利をプレゼント」 女性監督、5年目の初勝利
5番捕手に、エースのささやき 狙い通り1試合2HR
仲間のミス責めていた自分 「監督役」で精神面成長
海の資格9個、船員志望の4番・投手 船と野球「同じ」
白血病から復帰、学生コーチを志願 託された重要な役目
龍谷大平安の初代学生コーチ「日本一の投手陣作りたい」
龍谷大平安に「やり返したい」 気持ち盛り上げた主将
3時間45分の激闘 「最後は気持ち」京都両洋が制す
ロッチ中岡さん、高校野球愛は小学生から 熱い思い語る
三つ子の球児、長男と三男のバッテリー 残る次男は…
打席前にバッチコイ、三振でもバッチコイ 天然の2年生
平安高校出身の歌手作「負けてたまるか」 球場名物曲に
4月に骨折、小6以来の左打ち 日向坂46に救われた
京都で最も勝ち星から遠いチーム 助っ人加えて今年こそ
全員1年生のチーム、公式戦初得点 18点差でも焦らず
延長戦、幕切れは突然に でも「むっちゃ盛り上がった」
「こういうヤグラ初めて」あの名将も驚き 京都大会展望
狙って1番くじ引き選手宣誓 対戦相手は龍谷大平安に
仲間の失策帳消しにしたい、三振に仕留めてほえたエース
「ゲッツー狙って焦った」延長11回、捕りそこねた送球
父と兄は甲子園で本塁打 龍谷大平安・奥村、劣等感糧に










