岐阜大会2回戦で、昨夏も大会を制した大垣日大が大垣南を10―0(5回コールド)で下し、順調なスタートを切った。投打に活躍した内藤圭史(きよし)君(3年)には、どうしても負けられない理由があった。
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内藤君は試合前夜、一通のLINEを受け取っていた。
「負けてしまってごめん」
送り主は、選抜大会で優勝した愛知・東邦の主将石川昂弥(たかや)君(3年)。平成から令和へ。時代をまたいだ春夏連覇をめざしていたが、この日、愛知大会2回戦で敗れた。
2人は小学校時代、地元の選抜チームで一緒になって以来、家族ぐるみの付き合い。それぞれ甲子園を経験しているが、同じ大会で甲子園のグラウンドに立ったことはなかった。
「最後の夏、絶対に甲子園で戦おう」。それが2人の中学時代からの約束。石川君のLINEアカウントの一言メッセージは、ずっと「圭史と甲子園」だった。
「東邦は強いチーム。きっとプレッシャーで硬くなってしまったんだろう」。初戦を迎えたこの日、内藤君は「硬くなりすぎず、楽しもう」と自分に言い聞かせた。
目指すは、友と一緒に立ちたかった甲子園。「昂弥の分もやってやろうという気持ちです」
一緒に甲子園の約束を果たせなかった石川君は、敗戦後、一言メッセージを変えた。
「圭史は甲子園、僕は応援」(松山紫乃)