(22日、高校野球岐阜大会準々決勝 岐阜5―7市岐阜商)
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矢のような送球が遊撃手のグラブに収まっ
た。タッチアウトで盗塁阻止。七回裏、岐阜の双子バッテリーとしての最後のプレーは、弟・大塚勇輝君(3年)の好送球で終わった。
この日は兄・俊輝君(3年)が先発。市岐阜商相手に奮闘していた。三回に打球を右腕に受け、変化球を多投して交わす投球を余儀なくされていた。
「俊輝を助けたい一心で投げた」。ミット越しに影響を感じていた弟は捕手として何としても兄を援護したかった。何度もマウンドに向かい、励まし、フォームを修正した。下着を共有するほど仲が良い。わずかな変化もすぐにわかった。
幼い頃から兄がピッチャー、弟がキャッチャーだった。数年前の夏、テレビで岐阜と市岐阜商の試合を見た。延長戦を制した岐阜に憧れ、2人で同校に進み、甲子園を目指そうと決めた。
勇輝君は2年から捕手として活躍。一方、俊輝君は1、2年の時は試合に出られなかった。「お前とバッテリーを組みたいから頑張れ」。弟の励ましに応えようと、兄は自宅でもトレーニングに励み、野球ノートを付けるなど努力を重ね、エースの座をつかんだ。
最後の夏。2人は4回戦までに8イニングでバッテリーを組んだ。この日は7イニング。「勇輝のサインに首を振ることはなかった」、「ほしいところに投げてくれるので安心する」と双子ならではの意思疎通でピンチを切り抜けた。
高校最後の試合は、あの日、テレビで見た市岐阜商戦。試合後、2人は憧れのユニホームに袖を通し、野球ができたことを心の底から喜んだ。「チームはもちろん、2人一緒に野球ができてうれしかった」=大野(西岡矩毅)