最近、米国の「何でも知っている」匿名の人物や魂胆のある政府高官、無責任なメディアなどが共同で世論を操作して生まれた新型コロナウイルスが湖北省武漢市のウイルス研究所の実験室から流出したという「陰謀論」が幅を利かせている。トランプ大統領やポンペオ国務長官などがこの機に乗じるように、「中国を調査する」や「中国に責任を取ってもらう」などと言い放っている。科技日報が伝えた。
しかし、「うそ」は「うそ」にほかならず、同調させることはできたとしても、科学的根拠を示すことはできない。米国の情報サイトVOXは最近、米国の権威ある複数の専門家を取材し、「陰謀論」がでたらめであることを示す数々の理由に迫った。
感染症の起源の研究に取り組むニューヨークのNGO「エコヘルス・アライアンス」のピーター・ダザック代表は、「陰謀論の問題はそれが虚偽だと永遠に証明できないことにあるが、新型コロナウイルスが中国の実験室から流出したという理論はでたらめだ」とし、「新型コロナウイルスはコウモリ由来で、自然環境下のなんらかのルートを通じてヒトが感染したと確信している」との見方を示す。
ダザック氏によると、東南アジアだけを見ても、数億匹のコウモリが存在し、過去2-3年の間に、同地域でコウモリ由来のウイルスに感染した人の数は毎年100‐700万人に上ると見られている。一方で、武漢のウイルス研究所でコウモリのウイルスを研究している研究者はおそらくわずか数人だろう。この2つの数字を比較すると、実験室から流出した可能性は極めて低く、「陰謀論」はロジックとして成り立たない。
米コロンビア大学のウイルス学者・アンジェラ・L・ラスムセン氏も、「他の状況と比較しても、実験室から流出した可能性は非常に小さい。実験室からの流出以外にもたくさんの可能性がある」との見方を示す。
米テキサス州のガルベストン国立研究所(バイオセーフティーレベル4)の責任者・ジェームス・ルデュク氏は、「このウイルスは自然界に存在し、宿主間の伝播において、ヒトとの相性の良さが分かったというのが、合理的でロジックとして成り立つ説明だ」との見方を示す。
米紙ワシントン・ポストは4月14日付の記事で、在中国米国大使館の外交公電によると、武漢ウイルス研究所の実験室は安全管理に弱点があると主張し、匿名の情報提供者が「新型コロナウイルスは中国の実験室から流出した可能性があるとしている」と報じた。
ラスムセン氏は、「外交公電は漠然としていて、具体的な情報が何もない。それを根拠に、中国の研究者が不適任だと主張する理論は成り立たないと思う」と指摘する。
3月2日、米デューク大学とシンガポール国立大学が共同で設置する「デューク‐NUS医学部大学院」のバイオセーフティーレベル3科学の責任者・ダニエル・アンダーソン氏は、「過去2年間の異なる時期に、武漢ウイルス研究所の実験室で仕事をしていた。そこでは厳しいコントロールと抑制措置が講じられていると、私は自ら証明できる。武漢ウイルス研究所の職員は、非常に能力が高く、勤勉で、優秀な科学者で、卓越した業績を誇っている」と述べた。
米ボストン大学国立新興感染症研究所(NEIDL)のジェラルド・ケウシュ副所長は、「武漢の実験室は安全やセキュリティシステム、プロトコルなどの面で最先端だ。彼らは非常にプロフェッショナルで、事故が起きる可能性は極めて低いと、私は断言できる」と語る。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年5月7日