絨花(じゅうか、ベルベット生地で作った花や鳥などの工芸品)は、唐の時代から、宮廷の貴族女性の頭飾りとして使われ、今では民間でその技術が受け継がれ続けている。江蘇省の無形文化遺産である「絨花製作技術」の代表的な伝承人である趙樹憲さんは、精錬された手先の器用さと技術、豊かな想象力を頼りに、色とりどりで、生き生きとした花を、その手で次々と咲かせている。 人民日報海外版が報じた。
趙さんは、清の時代に皇室で使われていた頭飾りの図を見て、その形や色を参考にしながら、新たなアイデアなどもそこに組み入れて絨花を創作している。ドラマ「延禧攻略(Story of Yanxi Palace)」などが大ヒットし、中国国内外で「絨花」が人気となり、趙さんとその絨花もネット上で大きな話題になっている。
趙さんは、「現在、南京絨花は大人気となっており、中国の漢服を着るのが好きな若者数百万人に好まれているほか、デンマークやオランダのデザイナーも見学にやって来ている。さらに、提携の機会を求めてやって来る国際ブランドもある」と話す。国際的な有名ブランドと提携し、そのブランドのラッピング、ショーウインドーの陳列などを手掛けるたびに、大きな相乗効果を生み出しており、中国人はその伝統手工芸を誇りに感じるようになっている。
そんな趙さんは最近、自ら手掛けた南京絨花で作った掛額を、新型コロナウイルスとの闘いの第一線に立った「英雄」である、湖北省を支援した江蘇省医療チームにプレゼントした。「梅の花は、南京の市花で、困難をものともせず、勇敢に強い意思で立ち向かうという思いがそこに込められている。新型コロナウイルスとの闘いの第一線で、病魔と闘ってきた医療従事者にぴったりだ」と趙さん。