一人で食事をし、一人で映画を鑑賞し、一人で街をぶらつき、一人で病院に行く。そんな「おひとり様」が話題になって久しいが、浙江省杭州市では一人でも料理が楽しめる独身用食材セットや一人で火鍋をゆったり楽しめる一人鍋レストランなどがある。銭江晩報が報じた。
独身用食材セット:肉、野菜、米に調味料まで
杭州鳳起路のファーマーズマーケットで、野菜を販売している王さん(女性)は、栄養バランスが考えられ、野菜のほか肉や卵なども組み合わせた独身用食材セットを販売している。
王さんは、微信(WeChat)のボイスメッセージを聞きながら、野菜の重さを測り、袋詰めしていた。「微信で注文が入ったら、食材を準備する」と王さん。
「なぜ独身用食材セットの販売を始めたのか?」との質問に、王さんは、「近所のある若い女性は仕事が終わって帰ってくると、デリバリーばかり注文していて、『一人分作るのは面倒くさい』と言っていた。それで、私が売っている野菜を少し持っていって、何か簡単な料理を作って食べさせてあげたらと考えた。それがきっかけとなって、独身用食材セットを思いついた」と説明した。
クーポン券が打ち出されていた期間に打ち出した「独身用食材セット」の値段は35元(1元は約15.2円)で、トマト1個、レタス1個、小茄子2-3本、ニンニク1個、ショウガ1個のほか、スペアリブ250グラム、卵2個、米150グラム、油・塩・醤油・酢が入っている。
王さんは、「これは自分でいろんな店に行って買うより安い。なぜなら肉を販売している店主にも話を通して、割引価格でスペアリブを提供してもらっているから。このセットは、クーポン券が打ち出されたのに合わせて用意したので、今はもう販売していないという。ただ買いたいという若い人がいれば、セットにしてあげることもやっている。販売し始めてすぐの時は、一番多い日で15セット売れた日もあった。若い人だけでなく、高齢者も買いに来た」と話す。
そして、「私がセットに入れているのは簡単な家庭料理ができるものばかり。料理が苦手な人でも、負担を感じずに作ることができる」と王さん。
衝立で仕切られた席で一人鍋
浙江省杭州市には「一人鍋」の火鍋店がたくさんある。
浙江大学医学院附属第二病院国際医学センターの近くの路地にある火鍋店は、日本料理店のような雰囲気が漂っており、カウンター席は15席で、両横が木製の衝立で仕切られている。各席の前には、カーテンがあり、注文した品をそこから受ける取る仕組みだ。
お昼の時間は客が少なく、ある女性がスマホを片手に、火鍋を食べていた。「私はリピーターで、今日で4回目。清潔で、おいしい。近くの不動産管理会社で働いていて、歩いて5分で来られる。私は独り身ではないけど、一人で食べるのもいい」と話した。彼女は、48元の1人前のセットと、単品をいくつか注文していた。
それからほどなく別の女性もやって来て、席につくと、1人前のセットを注文していた。一人鍋を食べるのはこれが初めてという彼女は、「火鍋を食べながら、ドラマを見ることができるようにちゃんとモバイルバッテリーを持って来た」と話していた。この店は各席にスマホスタンドが置かれている。
そんな二人の女性が一人鍋の良さについて語り始めた。
「一緒に食べる友達が見つからない時がある。でも、我慢はしたくないし、大きな火鍋は食べきれない。だからこういう一人鍋がとてもいい。量もちょうどいいし。」
「そうよね。こういう火鍋なら、匂いが体や服にあんまりつくこともないし。」
火鍋店の経営者・祝さんは、「客の半分は一人客で、あとの半分は恋人や友達と来る。会社が貸し切りにして食べに来るということもある」と説明する。
祝さんは、生まれも育ちも杭州で、貿易関係のビジネスをした後、2019年8月に30万元を投じて、この店を開いた。祝さんは、「商売は順調。動画を撮影しに来るネット有名人もいる。多くの人が目新しさを求めている。客の7割は女性で、みんなきれいな女性ばかり。時々、男性客も来る。現在、昼間は客が少なく、夜になると満席になる」としている。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年7月27日