阿里巴巴(アリババ)はこのほど「高齢者デジタルライフ報告」を発表した。それによると、シルバー族のデジタルライフへの融合は加速しているが、モバイルインターネットの普及にともない、かなりの割合の高齢者が暮らしの中で引き続き「デジタルデバイド」に直面しているという。たとえばネットショッピングで何か問題にぶつかった時には、50%があきらめることを選択するという。「北京日報」が伝えた。
同報告によれば、新型コロナウイルス感染症が社会の全面的デジタル化を加速させているほか、これまで「デジタル経済のスポットライト」が当たらなかった層にも影響を及ぼした。感染症が発生して以来、60歳以上の高齢者がネットに触れる機会の増加率が他の年齢層を大きく上回った。
具体的にみると、第3四半期(7-9月)には高齢者の携帯電話での淘宝(タオバオ)の月間アクティブ率の増加率が他の年代を大きく上回り、全体平均を29.7ポイント上回った。高齢者層の消費金額の3年間の複合年間成長率は20.9%に達し、感染症期間中の消費増加率は00後(2000年代生まれ)に次ぐ2位だった。高齢者の消費ポテンシャルは軽視できない。
公開された情報によれば、2020年に中国では60歳以上が総人口に占める割合が17.4%に達すると予想される。中国の高齢者消費市場の可能性は大きく、市場規模のポテンシャルの高さ、高齢者向け消費財産業の供給不足、高齢者の消費ニーズの多様化、高齢者の消費意欲の顕在化という4つの特徴がみられる。
ほかの層に比べ、高齢者の消費支出は主に孫世代などのため、健康、医療・介護、レジャーサービス、飲食・住居の質改善などに充てられる。同報告のデータをみると、食品はシルバー族がネットショッピングで好んで購入する商品で、オンラインでの食品支出は他の層を3.6ポイント上回った。新小売プラットフォームの盒馬のデータでは、感染症の後、60歳以上のユーザーのオンライン注文の伸びが最も速く、ネットショッピングの習慣が徐々に根付き、1人あたり平均消費金額は90後(1990年代生まれ)や00後を上回った。
ますます多くの高齢者がネットショッピングからデジタルライフへと歩を進め、高齢者のオンラインサービス消費が台頭している。2019年にオンラインフードデリバリープラットフォーム「Eleme」が高齢者から受けたデリバリー注文量は10倍近く増加した。同社の「万能リトルブラザー」(何でも屋さん)などのサービスを利用し、モバイルインターネットでやりとりをして、薬を取りに行ってもらったり、病院に行って各種報告を受け取ってきてもらったりする高齢者がますます増えている。
おいしく食べたら楽しく遊ぶことも必要だ。オンライン旅行サービスプラットフォームの飛猪のデータでは、19年には60後(1960年代生まれ)のシルバー族の旅行消費額が00後の3倍に上ったという。
しかし同報告は次のように呼びかける。ますます高齢化が進む中国社会は高齢化に適したデジタルサービスを構築するべきで、高齢者がデジタル時代に取り残されるようなことはあってはならない。アリババの顧客体験事業群のデータによると、淘宝(タオバオ)の高齢者ユーザーの1日あたりアクティブユーザー数はどんどん増加しているものの、決済率は若い年代を明らかに下回るという。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年10月27日