中国農業大学食品科学・栄養工程学院の程永強教授は、「若者のサプリメント人気はある程度合理的と言える。現在の人々の多くは『見えない飢餓』という問題に直面している。『見えない飢餓』というのは、体のタンパク質や脂肪が過多となる一方、ビタミン、ミネラルなどが不足した状態だ」と説明する。
また、仕事のストレスや徹夜などにより、亜健康(病気と健康の中間の状態)になる若者が増え、サプリメントのニーズが高まっている。
一部の専門家は、「市場で出回っているサプリメントの概念は非常に幅広く、多くの人が『サプリメント』と『健康食品』がごっちゃになっている」と指摘する。程教授は、「例えば、プロテインは、健康を促進する効果がある単なる普通の食品」と説明する。
ナツメ3個で一日分のビタミンC
国際食物政策研究所の樊勝根所長は、取材に対して、「栄養補充剤は、『見えない飢餓』を解決する方法の一つ。しかし、食べ物を通して栄養を補充するほうが得策と言える」との見方を示す。また、米パデュー大学の食品工程博士の雲無心氏も、「バランスの取れた食事をしていれば、サプリメントを服用する必要は全くない」とする。
どのようにすればバランスの取れた食事をすることができるのだろうか?
2016年に発表された「中国住民食事ガイド」は、1人当たり1日平均12種類以上の食べ物を食べ、1週間に25種類以上食べるようにとアドバイスしている。毎日食べる必要があるものには、穀物・イモ類、野菜・果物類、肉・魚・卵・牛乳類、大豆・ナッツ類などがある。
サプリメントで摂取することができる栄養素はどれも普段の食事を通して摂取できるものばかりだ。天津市第一セントラル病院・栄養科の主任医師・譚桂軍氏によると、大人の場合、1日に10ミリグラムのビタミンCを摂取しなければならない。旬の果物、ナツメをそれぞれ100グラム食べれば、243ミリグラムのビタミンCが含まれている。「1日にナツメを3‐4個食べれば、体に必要なビタミンCを摂取できる」のだ。
その他、専門家は、「若者は運動を習慣にしなければならない。1週間に少なくとも5日、中強度の運動を合わせて150分以上し、毎日6000歩以上歩くのがベスト」としている。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年11月2日