今年の「ダブル12」(12月12日のネット通販イベント)は一部の蘇州市民にとって特別なものになった。このほど抽選で10万人にプレゼントされたデジタル人民元が使えるようになり、当選者の多くがこの週末にはデジタル人民元による決済という新しい体験をした。さきに深セン市で行われたデジタル人民元のテストとは異なり、今回は指定されたオフライン店舗で使えるだけでなく、オンラインでも使えるようになり、当選者の中にはオフライン環境下にあるコールドウォレットを体験するチャンスをつかんだ人もいた。「北京日報」が伝えた。
今回のテストはデジタル人民元の研究開発過程での通常のテストの一環だが、テストする機能がどんどん高度化し、研究開発過程での朗報が次々に伝えられ、デジタル人民元はまもなく人々の生活に入り込むとみられ、未来の応用実現の足音もますます近づいた。
スマホの電波が届かなくても決済が可能に
「携帯電話のネット機能をオフにしても決済ができる?」。蘇州市の陸さんが興味深そうな様子で機内モードにした自分のスマートフォンを店頭のスマホにそっと近づけると、自分のスマホのディスプレイに表示されていたデジタル人民元が店頭のスマホにすっと移動した。陸さんは大喜びで、「便利で速い。これからは支払いをするときに通信状態を気にしないですむ」と話した。
「ダブル12」がこのほど幕を開けた。重量級のショッピングイベントの1つとして、蘇州市はこれに合わせてデジタル人民元の「紅包(ラッキーマネー)」というスタイルで消費イベントを打ち出し、10万人に計2千万元(1元は約15.9円)のテスト用の無償配付デジタル人民元を支給した。陸さんはこの「ラッキーな10万人」のうちの1人だ。
抽選の結果が11日に発表されると、多くのネットユーザーが微博(ウェイボー)に当選通知のスマホ画面をアップした。この夜、蘇州市の1万余りの業者がレジにデジタル人民元用のQRコードのプレートを置き、微信(WeChat)と支付宝(アリペイ)のプレートと一緒に並んだ。
さきに深セン市で行われたテストに比べ、蘇州市のテストでは利用者が自分からQRコードを読み取ってデジタル人民元が使えるようになり、また利用者の一部が双方向のコールドウォレットを体験するチャンスを得られるといった発展がみられる。双方向コールドウォレットとは、仲介役の端末と受理する側の端末がインターネットに接続していない状況で業務を完了するプロセスであり、ネットワークがない、電波が弱いといった状況でも、利用者は取り引きや送金に際してバックグラウンドシステムに接続することなく、ウォレット内で身元確認や取り引き情報の確認を行って決済をするという方法で取り引きを完了できる。
消費者がみせる好奇心や興奮に比べ、テストに参加する店舗の考えることはより着実だ。ある店の店員は、「デジタル人民元はリアルタイムで送金できて手数料もかからず、業者の資金調達にかかる圧力を緩和できる。微信と支付宝なら一定の割合の手数料を納めなければならない」と話し、同じくテストに参加した多くの業者がこの見方に賛成した。