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8月25日、貴州省丹寨県の無形文化遺産である藍錦染色技術を伝えて貧困者を支援する工房で、ろうけつ染めの製品を製作する苗族の女性ら。黄暁海/人民図片 |
「体中やる気に満ちている!」。ここ数年、無形文化遺産の技術を伝えて貧困者の雇用を支援する工房で、甘粛省臨夏回族自治州伝統の建築装飾アート・レンガ彫刻の技術を学ぶ同自治州の貧困者・張宏傑さんは、張りのある声でそう話した。地元の多くの人々がこうした工房で技術を学び、安定した仕事に就いて、その平均月収は約4000元(1元は約15.85円)に達している。
特に技術がないというのが、貧困世帯の貧困脱却と増収を阻む大きな足かせとなっている。実際には、少数民族が住んでいる地域や貧困地区は往往にして伝統工芸が豊富な地域で、突出した特色があり、切り絵細工や刺繡、絵画、金属加工、建築・造営などのたくさんの優位性を誇る無形文化遺産資源がある。
手に職をつけることができれば、世帯として貧困を脱却し、豊かな生活を送ることができるようになる。2018年7月以来、中国文化・観光部(省)は、各地域が無形文化遺産の技術を伝えて貧困者の雇用を支援する工房の建設支援を始めた。現在までに各地におけるこうした工房がプロジェクト2200件以上の実施を促進し、50万人以上の雇用を創出。貧困世帯20万世帯以上が貧困を脱却した。
貴州黔東南苗(ミャオ)族侗(トン)族自治州雷山県の山深い場所にある西江鎮麻料村は近年、無形文化遺産の技術を伝えて貧困者の雇用を支援する工房を建設しており、銀細工製作、無形文化遺産をテーマにした観光が急速に発展した。ただ、今年の初めは新型コロナウイルスの影響で、観光客が減少し、銀細工の販売も落ち込んだ。
しかし、6月に朗報が届いた。無形文化遺産関連の商品の販売をめぐる難題を解決し、消費を効果的に拡大すべく、中国文化・観光部、商務部、国務院貧困者支援弁公室の支持の下、複数の大手ECプラットフォームが共同で「無形文化遺産ショッピングフェスティバル」を開催し、無形文化遺産関連の機関、企業、無形文化遺産工房が各プラットフォームで販促キャンペーンを展開したのだ。
今回インターネット上で、無形文化遺産をテーマにしたショッピングフェスティバルが開催され、銀細工職人の潘仕学さんは感激。ECに関する知識を学んでトレーニングを受け、オンライン販売には大きなポテンシャルがあることを目の当たりにした。そして、「私たちのような辺鄙な地域に住む苗族が製作する銀細工を他の都市に直接販売することができる。販売ルートが何の障害もなく通じ、今後もっと発展すると確信した」と話す。
中国各地の無形文化遺産工房では、関連当局が、伝統工芸の研修を幅広く企画、展開し、村民の製品の製作能力、デザイン、開発能力、市場開拓能力を向上させてきた。また、各当局が工房で製作された製品の各種展示会、展示即売会などを積極的に企画し、それら製品が各景勝地、観光スポット、公共サービスポイントなどにも並ぶように取り組んで、オンラインとオフラインの宣伝やマーケティングを強化している。
こうした工房を通じた「造血式」支援により、村民は手に職をつけることができるだけでなく、視野を広げ、思考の幅を広げることができるようになっている。
以前は出稼ぎに出るというのが貧困世帯の増収の主な方法で、甘粛省省隴西県雲田鎮三十鋪村に住む牟淑平さん夫婦も出稼ぎに出ていた。しかし、村に隴西県の無形文化遺産となっている伝統的な刺繡の技術の工房が建設され、牟さんら女性約20人は研修を受けて、工房のメンバーとなった。
村民が技術を学んで、お金を稼ぎながら、子供や家族の世話をすることもできるだけでなく、地元の人々が貧困から脱却して豊かになり、さらに、伝統工芸を継承し続けることもできる。
「刺繡を製作してお金を稼ぐことができ、子供も、高齢者も喜んでいて、村は一層賑やかになって、活気が出た」。湖南省花垣県には、出稼ぎに出ていた女性が戻ってきて、工房で働くようになっている。女性らは、「仕事と家庭を両立させることができ、本当にうれしい」と、顔をほころばせる。
「人民網日本語版」2020年12月25日