大型恐竜の卵の配置(名古屋大提供)
体重1トンを超える巨大恐竜は、どうやって卵をつぶさずに温めることができたのか――。名古屋大の田中康平・特別研究員(古脊椎〈せきつい〉動物学)らの研究グループが、大型恐竜でも巣の中で卵の配置を工夫することで抱卵できた可能性があることを明らかにした。16日、英科学誌バイオロジー・レターズに発表した。
鳥の祖先とみられる一部の恐竜は親が抱卵して卵を孵化(ふか)させていたと考えられているが、大型恐竜では親の体重で卵が壊れるため不可能だと考えられてきた。
田中さんらの研究グループは、二本脚で歩く鳥に似たオビラプトロサウルス類に着目。中国の四つの博物館に所蔵されている40個分の巣の化石などを調べ、卵の配置や殻の構造を詳しく分析した。
その結果、オビラプトロサウルス類のうち、推定体重40~100キロほどの小型の種は卵を密集させて置く傾向が確認され、その上に座って温めたと推定。一方、最大1・5トンに及ぶ大型の種は卵をドーナツ状に配置していた。体重が重いほど中心の空間が広くなり、そこにうずくまって営巣したと考えられた。
研究グループは、恐竜の大型化に伴い、卵をつぶさずに抱卵できるよう配置を工夫し、体重による負荷を減らしたとみている。田中さんは「卵の上に座って温めるのに比べ体温を伝えにくい面もあるが、近くに置くことで卵を狙う敵や雨などから守り、巣の温度や湿度を管理していたのではないか」と話している。(西川迅)