アニメ映画は大ヒットも、実写版映画はイマイチ
ミュージカル映画というジャンルそのものがマイナーで、矢口監督も「ミス」を犯していることのほか、一般の映画鑑賞者の間では日本映画の知名度はそれほど高くないというのも、「ダンスウィズミー」の興行収入が全く伸びない原因の一つとなっている。2015年以降に中国で公開された日本映画を見てみると(2015年以前に中国で公開され興行収入が3000万元を超えた日本映画はなし)、現時点で、興行収入トップ10に入っているのは、全てがアニメーション映画。トップ3は、2016年に中国で公開された「君の名は。」(5億7500万元)、2015年に中国で公開された「STAND BY ME ドラえもん」(5億2900万元)、2019年に中国で公開された「千と千尋の神隠し」(4億8800万元)となっている。トップ10のうち、「君の名は。」と「天気の子」が新海誠監督の新作であるほかは、宮崎駿監督の「となりのトトロ」や「千と千尋の神隠し」、長寿アニメの「名探偵コナン」、「ONE PIECE」など、いずれも中国と日本の人々にお馴染みの名作映画ばかり。「ドラえもん」に至っては、劇場版4作品がランク入りしている。
2020年は、新型コロナウイルスの影響で、中国で公開された日本映画は9作品と、2019年と比べて半分以下に減った。9作品のうち、実写版映画が3作品、アニメーション映画が6作品。興行収入トップ5を見ると、4作品がアニメーション映画で、トップは1億2500万元の「デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆」。実写版映画を見ると、木村拓哉と長澤まさみが主演の「マスカレード・ホテル」がなんとか4位に食い込んだだけだった。2019年は日本映画が中国で「爆発的」に公開された年となり、計24作品が公開された。しかし、興行収入トップだったのは、約20年前の2001年に日本で公開された「千と千尋の神隠し」だった。2018年に中国で公開された日本映画のうち、興行収入トップは「ドラえもん のび太の宝島」(2億900万元)で、やはりアニメーション映画だった。この年は矢口監督のヒット作品「サバイバルファミリー」も公開されたものの、興行収入は1140万3000元にとどまった。
実写版映画が、2次元(アニメ・漫画・ゲームなどを総じたジャンル)によって完全に脇にやられている状況は、日本の興行収入の状況とも一致する点は注目に値する。例えば、2017年を例にすると、日本の映画の興行収入トップ10に入った実写版オリジナル映画は1作品もなかった。(編集KN)
「人民網日本語版」2021年1月28日