東京都品川区のUFJ銀行のATM(現金自動受払機)付近で、映像受信機を持つ無職の男(37)が逮捕された事件で、この受信機に残された画像には、キャッシュカードが映っており、個人名や口座番号を示す数字を読み取れることが分かった。小型カメラによるATMでの盗撮は、個人情報の入手が目的だった可能性もあり、警視庁捜査3課は、個人情報を悪用し、インターネットを使った取引などの不正利用を図る組織的な犯行の疑いもあるとみて、解明を進めている。【宮川裕章、鈴木泰広、川上晃弘】
警視庁は、9月上旬に港区のATMで初めてカメラが見つかった当初、盗撮後にカードを盗み、暗証番号を使って預金を引き出す新手のスリとの見方を示していた。しかし、男がカメラを設置するなどしたATM周辺では、カードがスリなどで盗まれる被害は届け出られていない。
映像受信機は、男が13日に品川区のATM前で銃刀法違反容疑で現行犯逮捕された際、紙袋の中に隠し持っていた。警視庁が受信機を調べたところ、ATMに取り付けた小型カメラで撮影したとみられる画像が残っており、暗証番号を打ち込む利用者の手のほか、挿入口に差し込まれるカードの表面も映っており、刻印された文字や数字も読み取れたという。
通常、インターネットを使った銀行取引のネットバンキングの申し込みには、少なくとも名前、生年月日、キャッシュカードの暗証番号、口座番号の明示が必要。盗撮によって、犯行グループがこれらの個人情報を狙った恐れがある。またクレジットカード兼用のカードであれば、ネットショッピングなどに必要なカード番号が盗み見られた可能性もある。
供述によると、男はインターネットで連絡を取り合った別の男の指示を受け、受信機などの入った紙袋を文京区内の駅の指定場所で入手。その後、携帯電話などを通じた指示に従い、文京、杉並、品川区内のATMで小型カメラを取り付けたり、回収していた。