関西電力美浜原発や九州電力玄海原発などの修理工事に従事した作業員の被ばく歴がファイル交換ソフト「ウィニー」のネットワーク上に流出していたことが7日分かった。複数の原発の修理報告書なども漏れていた。これまで相次いだ暴露ウイルスによる流出とは異なり、何者かが意図的に拡散させた可能性が高い。被ばくデータなどが漏れたことに対し電力会社は原因究明に乗り出し、経済産業省原子力安全・保安院は、改めて情報流出しないよう呼びかけた。【情報漏えい取材班】
今回流出したのは、他に東京電力福島第一原発3号機の修理報告書や中部電力浜岡原発2、4号機の補修報告書など計9種類。「広範囲にわたりキズ有り」などの点検結果の記述もあった。いずれも「極東ゴム」(本社・大阪府堺市)の社員が作成した書類だった。
また原発の修理工事に従事する同社の社員ら約20人の住所、氏名、生年月日や電話番号を記した書類もあった。それには96年から02年までの被ばく歴データが書き込まれ、「0.6(ミリシーベルト)」など被ばく線量を示す値が記されていた。
同社は「当社のデータに間違いないが、(暴露ウイルスが問題となった)6月以降、厳重に管理しておりネット流出は考えられない。一次系などの作業はなく、被ばく線量も問題ないレベル」と説明している。
保安院によると、核物質防護情報は含まれていないという。保安院は「引き続き核物質防護関係の情報が流出することのないよう事業者は万全を期してほしい」としている。
原発機密データ流出は今年6月以降、相次いで表面化した。いずれも暴露ウイルス感染が原因とされ、各ファイルがパッケージ化されひとまとまりになった状態で流出していた。
ところが、今回のファイルは一つずつバラバラに存在し、同一の識別記号が付いていた。このため何者かが入手したデータを意図的にネットワーク上で再び拡散させた可能性が高いとみられる。
▽関電地域共生・広報室の話 工事を担当した会社に注意した。今後聞き取り調査を行い、原因究明と再発防止に努めたい。