宮城県警が捜査協力者などに支払った報償費文書を非開示にしたのは不当だとして、仙台市民オンブズマン(坂野智憲代表)が浅野史郎知事に非開示処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が27日、仙台高裁であった。大橋弘裁判長は協力者の名を開示するよう求めた原告側の主張を退け、1審の仙台地裁判決をほぼ踏襲する判決を言い渡した。オンブズマンは「控訴棄却に等しい」と反発している。
◇支払内訳公開を命令
01年にオンブズマンは99年度の県警刑事部などの報償費文書の開示を求めたが、県は文書の大半を非開示とした。1審判決は報償費の月別支出額の開示を認めたが、協力者や捜査員の名は非開示とした。
これに対し、大橋裁判長は県警会計課から各部署に報償費を振り込む際の預金口座番号などについては、1審判決を変更し開示するよう命じた。
原告側が主張した架空支出の疑いについては「個々の文書のどれが架空か判然とせず、報償費が架空支出されたことは認めがたい」と認定。そのうえで、捜査協力者名の開示は(1)協力者の生命、身体に危害が加えられる恐れがある(2)報復を恐れて協力に消極的な人々が増える--などとして、県警側主張に従った判断を示した。
訴訟は、浅野知事が1審判決後、県警に黒塗りのない文書を閲覧させるよう要求、県警に拒否されたため「支出文書の正当性について反論し得ない」と報償費の執行に疑義を示す文書を高裁に提出する異例の経緯をたどった。
高裁判決を受け、浅野知事は記者団に「予想の範囲内」と述べ、県が報償費予算の執行を停止していることには影響しないとの見方を示した。【赤間清広、石川貴教】