旧国民年金法の国籍条項を理由に障害基礎年金を支給しないのは憲法に違反するなどとして、聴覚などに障害がある京都市の在日韓国・朝鮮人ら7人(2人は日本国籍を取得)が国などに不支給決定の取り消しと計約1億7500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が27日、大阪高裁であった。若林諒(まこと)裁判長は「立法措置の選択決定は立法府の広い裁量に委ねられている」と述べ、請求を退けた1審・京都地裁判決を支持、原告側の控訴を棄却した。
裁判では、同法の国籍条項や82年の法改正時に国が立法上の救済措置を講じなかったことが、法の下の平等を定めた憲法14条や国際人権規約に違反するかどうかが争われた。
判決は「1959年の旧法制定時、外国人が安定的に日本に在留するとみられなかった以上、外国人を被保険者としなかったことに裁量権の逸脱はない」と指摘。国際人権規約違反の主張も「個人に具体的権利を付与すべきことを定めたものではない」と退けた。
障害基礎年金の受給資格を日本国民に限る国籍条項は82年に撤廃されたが、効力は過去にさかのぼらないとする付則に基づき、82年当時20歳以上だった外国籍の人は無年金状態が続いている。【一色昭宏】