航空機内に持ち込まれた風船が破裂し、耳鳴りなどの障害を負ったとして、愛知県岡崎市の会社員男性(57)が、日本航空インターナショナル(東京都品川区)を相手取り、約960万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、名古屋地裁であった。黒岩巳敏裁判官は「風船持ち込みを看過した過失があり安全配慮義務に違反した」として、同社に治療費や休業損害など約31万円の支払いを命じた。
同社は「風船が持ち込まれた事実はなく、事故も発生していない」と主張したが、黒岩裁判官は「乗務員が報告書に風船の形状を具体的に記載するなど、事故発生の事実を前提に対応した」として、事故があったと認定した。
訴えによると、男性は99年4月、マニラから名古屋行きのJAL744便に搭乗。離陸後、後ろの座席の子供が持った風船が破裂し耳に強い痛みを覚えた。その後、病院で難聴と耳鳴り症と診断。判決は「難聴は事故との因果関係が認められない」として、耳鳴り症の治療費と通院による休業損害などの支払いを命じた。
◇日本航空広報部のコメント
判決の内容を精査した上で、控訴を含めた今後の対応を検討する。