09年5月までに導入される裁判員裁判制度PRのため、松尾邦弘検事総長が9日、東京都文京区のトヨタ自動車東京本社を訪れ、奥田碩会長に協力を要請した。刑事裁判に国民が参加する新しい制度は十分に理解されているとはいえず、検察トップが企業を訪問する異例の取り組みになった。
裁判員に選ばれた場合に仕事を休んで参加するサラリーマンや、送り出す側の企業の理解を深めてもらおうと企画され、現役検事を招いて制度説明会を開いているトヨタが、総長の訪問先第1号に選ばれた。企業は、ともすれば検察の捜査対象にもなりえるが「お願いはお願い、捜査は捜査。二つを混同することは決してありません」と裁判員制度の担当者は言う。
松尾総長が「国民が観客ではなく舞台に上がるように司法参加できればいい社会になると思います」と意義を強調。奥田会長は「今まではお上頼りの人が多かったから制度の転換は重要」と応じ、しっかり握手を交わした。【銭場裕司】