トヨタ自動車は今春闘で、労働組合が要求する月1500円の賃金制度改善(実質的なベースアップ)に対し、昨年と同額の月1000円で回答する方向となったことが8日、分かった。2年連続の賃上げ容認となる。一方、労組側も満額回答を得るのは困難との判断に傾いており、月1000円の賃上げで妥結する公算が大きくなった。
トヨタは、米国、欧州など海外での好調な需要に支えられ、07年3月期決算では営業利益が初めて2兆円を超え、2兆2000億円になる見通し。経営側は当初、「現在の賃金は高水準で、賃上げは国際競争力を損なう」として2年連続の賃上げに消極的だった。
しかし、8日の労使交渉で渡辺捷昭社長は「(要求額に)そのまま応えることは困難」と述べ、1500円の満額回答はできないものの賃上げを容認する姿勢を示した。個人消費の低迷や、従業員の士気向上などを総合的に判断したとみられる。
ただ、労組側は昨年実績のさらなる上積みを目指しており、14日の回答日ギリギリまで交渉はもつれ込むとみられる。一時金は労組要求の年間258万円を認める方針で、過去最高の支給額となる。一時金の満額回答は8年連続。【高塚保、中井正裕】
毎日新聞 2007年3月9日 3時00分