姉歯(あねは)建築設計事務所(千葉県市川市)によるマンションなどの耐震構造計算書偽造問題で、国土交通省が偽造データを基にして建設されたマンションなどの耐震性を再計算した結果、完成済みの建物14棟のうち渋谷区内のマンションを除く13棟(計427戸)が「震度5強」程度の強い地震に耐えられない構造だったことが21日、分かった。13棟については建て替えも含めた対策を取る必要があるという。これまで国交省発表分と業者発表分を合わせ計4棟が倒壊する恐れが分かっていたが、新たに9棟が加わることで住民の混乱はさらに広がりそうだ。
また同省は工事中の3棟が同様の恐れがあると公表しており、倒壊の恐れのある姉歯物件は計16棟となる。
新たに分かった完成済みの9棟は中央区2棟(うち1棟はホテル)▽港、墨田、江東各区の各1棟▽東京都稲城市、横浜市、神奈川県藤沢市、千葉県船橋市各1棟。このうち横浜市1棟は他の物件と比べ、データ上は若干良かったが、同省は「誤差の範囲内」として倒壊の恐れを指摘した。また渋谷区の1棟については、震度6強で柱のひびの入り方が大きくなる可能性があるとした。
工事中の3棟はいずれも千葉県船橋市内のマンションで、このうち、ほぼ完成している「グランドステージ船橋海神」は、住民が入居し始めると重量の影響で建物にひびが入ったり、一部にゆがみが発生する恐れがあるという。
国交省は21日午前、再計算した結果について、マンションやホテルが建設されている関係自治体に報告した。【長谷川豊、桐野耕一】
◆震度5強で倒壊する恐れのある建物一覧◆
(1)湊町中央ビル (10階、59戸)=千葉県船橋市
(2)コルギ・S・船橋 (9階、59戸)=同
(3)グランドステージ稲城 (9階、24戸)=東京都稲城市
(4)グランドステージ茅場町 (13階、37戸)=同中央区
(5)京王プレッソイン茅場町 (15階、ホテル)=同
(6)不明 (10階、18戸)=同港区
(7)ステージ大門 (9階、8戸)=同
(8)スカイコート西早稲田 (10階、47戸)=同新宿区
(9)グランドステージ東向島 (11階、36戸)=同墨田区
(10)グランドステージ住吉 (11階、67戸)=同江東区
(11)グランドステージ川崎大師 (9階、23戸)=神奈川県川崎市
(12)コンアルマーディオ横浜鶴見(10階、19戸)=同横浜市
(13)グランドステージ藤沢 (10階、30戸)=同藤沢市