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イラク:マリキ首相に責任の自覚迫る ブッシュ大統領

【ワシントン笠原敏彦、カイロ高橋宗男】ブッシュ米大統領は13日のバグダッド電撃訪問で、イラク正式政府を本格始動させたマリキ首相に対し「この国の将来はあなたの手中にある」と述べ、責任の自覚を迫った。電撃訪問には、先週の正式政府始動と「イラクの聖戦アルカイダ組織」を率いたザルカウィ容疑者の殺害成功をイラク情勢の「転機」につなげたいとの大統領の思惑がにじんだものだが、イラク側では「政治パフォーマンス」との冷ややかな見方も出ている。

 ブッシュ大統領はマリキ首相との会談後、「首相と内閣が行う決定にイラクが成功するかどうかがかかっている」と訴えた。大統領はイラクでの「勝利」の定義を「イラク自らが統治し、維持し、防衛する」能力を持つことだと説明し、支援の継続を約束した。

 大統領は、国防相ら治安担当3閣僚の就任によるマリキ政権の本格始動に合わせてイラクを訪問する準備を水面下で進めてきた。バートレット大統領顧問によると直接会談は「首相の優先政策を確認し、その具体的な支援策を探ることが主な目的」だという。米国には、イラク新政府へのイランの影響力拡大への懸念もあり、今回の訪問には早期にマリキ首相と信頼関係を築きたいとの狙いもあると見られる。

 一方、イラク側では、電撃訪問によって米国とイラクの「主従関係」が浮き彫りになった感があり、イラク各派からは訪問の意義を懐疑的にとらえる声や、秋の中間選挙に向けた大統領のパフォーマンスとみる向きもある。AP通信によると、イスラム教シーア派の対米強硬指導者、ムクタダ・サドル師派のルバイエ氏は「訪問はブッシュ大統領に利するだけで、イラク人にとっては何の意味も無い」、スンニ派連合会派「イラク調和戦線」のアーニ氏も「米軍撤退のスケジュールを示すよう説得できないのならば意義はない」と語った。

毎日新聞 2006年6月14日 11時45分

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