![]() 公式練習のセットプレーの練習中、ポジションの確認をする宮本(左)ら日本代表の選手たち=ドイツ・ニュルンベルクのフランケン競技場で17日、竹内幹写す 日本代表を象徴する二つの顔がある。1977年1月生まれの中田英寿(ボルトン)と同年2月生まれの宮本恒靖(ガンバ大阪)である。イタリア、イングランドで通算8シーズンを過ごしている中田英が海外組を代表する顔なら、主将の宮本は国内組のまとめ役として語られてきた。2人は世界と戦ううえでの思想も異なった。積極性を求める中田英に対し、宮本は安全第一である。 中田英の考え方は「相手より、多く走ることができるのが日本の長所」とシンプルだった。ボールを奪われたら、すぐに追ってプレスをかけて奪い返す。ボールを自陣から遠ざけ、相手ゴールに近い位置から攻撃につなげてチャンスを生む発想だ。できなければ「走るというサッカーの根本ができていない。足りないのは気持ちだ」と、仲間を容赦なく批判した。世界を知ったうえで、日本サッカーの現実を見据える考え方だ。 DFというポジション柄、宮本は慎重だった。「90分間(走って)プレスをかけることは体力的に難しい」と考え、相手にボールを奪われたら、まずは自陣まで下がって効率的に受け止めることを目指した。「今回のW杯を見ても、自陣に下がってから守っていることが多い」と世界の潮流を根拠にした。Jリーグを舞台にする宮本が描く理想論とも言える。 海外組は、国際サッカー連盟(FIFA)が定めた日程でしか代表チームに合流できない。今年に入って、登録23選手が決定した5月15日前に日本代表が戦った7試合のうち、海外組が合流したのは1試合、練習期間は2日間だけだ。中田英が合流し、2人が激しく意見を戦わせる光景は、昨年のW杯アジア最終予選以降、常に繰り広げられてきた。 それでも中田英は多くは宮本の考え方に合わせて戦ってきた。オーストラリア戦もそうだった。しかし、1-1の同点とされたあと、追加点を奪いにいこうとする攻撃陣と、なおも安全第一に進めたい宮本ら守備陣との間に大きな意識のギャップが生じた。2点を追加され、勝ち点を失った。 クロアチア戦までの日々、チームはどん底に落ちた。仲間への批判めいた発言も取材陣にもれてきた。だが、試合前日には本来の明るさを取り戻した。大一番を前に、宮本は「あれこれ考えずにやる」と吹っ切り、中田英は「どう戦うかではなく、結果がすべて」と言い切った。【小坂大】 毎日新聞 2006年6月18日 20時43分 (最終更新時間 6月18日 20時59分) |
W杯日本代表:けん引する宮本と中田英 大一番に臨む
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