そのプレーを見たすべての人々がため息をついたに違いない。後半6分、柳沢がゴール前の左でフリーになり、シュートを放った場面。ゴール右隅を狙い、右足甲の外側で変化させた球はむなしくも右にそれた。なぜ素直に打てなかったのか。柳沢は「インサイドでけっていれば、入っていたかもしれない」と判断ミスを悔やんだ。
柳沢は「シュートの意識とか、FWは強引でないといけないとか、僕とは考え方がちょっと違う部分がある」と話したことがある。シュートを打つだけがFWの仕事ではないという美学。ただ、「得点に結びつかなければ評価されない」と自ら認識しているように、FWとして絶対決めなければいけない場面はある。
柳沢は「得点は最初から狙ってる。最後まであきらめずに狙っていきたい」と話した。自己犠牲をいとわない柳沢のプレーは日本代表にとって必要な要素。しかし、ことシュートに限れば、まだ迷いがあるように見える。【小坂大】
毎日新聞 2006年6月19日 10時51分